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web Cafe Adrenaline vol . 50

2007 7-20 update since 2000


赤い彗星、現る!
〜What do you request from the car? 1982 Lotus Esprit S3 〜

2007年7月16日 (月)、三連休の最終日の夕方、

おかげさまで、「あ〜、疲れた〜!」、と岩のように凝り固まった肩をグルグルほぐしながら、
さて、そろそろ閉店にしよっかな、と思い、
エアコンを切り、窓を開け、風を通していると、遠くの方から、
あきらかに普通のクルマの音じゃない震動が近づいてきたと思ったら、
あきらかに普通じゃないクルマが、ぬう〜っと駐車場に入ってきた。

そう、これが「ロータス・エスプリ」である。

その狭い運転席からスルスルと降りてきたのは、
名古屋時代の常連さんであり、僕のオーディオ設備の良き相談相手でもある、安立氏であった。

中津川に移ってからは初めての来店なので、かれこれ4年ぶりの再会である。

僕よりも10歳くらい年上の安立氏は、相変わらず、その飄々とした表情と、
まるで全身のどこにも力が入っていないかのようなリラックス感で、
「これ買ったんよ」、と笑顔で言った。

それにしても驚いた。
まったく失礼ながら、エスプリと安立氏の接点はまるで見当たらないし、結びつかない。(笑)

蒸し暑く、気だるい休日の夕方、そして、誰もいなくなったアドレナリンの駐車場に、
その強烈な違和感だけが漂っていた。

「安立さんてさー、バイク(それも大型)好きってのは知ってたけど、こういうのも好きだったの?」
と聞いてみると、

「まあね、エスプリはずっと昔から欲しかったね、
けど基本的には草刈り機でも、発電機でも、エンジンの付いたもんなら何でも好きだよ。」
とのこと。

しかも、購入してから既に3年が経過しているというから2度ビックリである。

それじゃあ壊れまくったでしょ?、と聞くと、
「だーね」、と大きく何度も頷いた。

この個体は、まず買った時点で、(イギリス本国で)、ちょっとしたレーシングカーとして使われていたようで、
全ての保安部品が取り外されており、それを日本の道交法に合わせるため、元に戻すのがまず大変、

ついでに内装もほとんど取り払われていたようで、こっちを直すのも大変、

おまけに、このクルマの最大の美点でもあるリアサスペンションのロア側のラジアスアームに、
強くヒットした形跡があり、やたら直進安定性が悪いとのことで、これも部品交換しなくちゃいけないんで大変、

そして走行距離が78800マイル、つまり13万キロという目眩がするようなマイレッジに加え、
25年前の個体ということで、いろんな部分がお疲れさんということで大変、

他にも、ウォーターポンプが壊れたり、あちこちの電装系がパンクするので大変・・・、と大変のオンパレード。(笑)

それでも、めげずにコツコツこの個体を仕上げていった理由の一つに、
シャーシを含めたボディの程度の良さが挙げられると言う。

サーキット走行が主な使用目的となると、ついついターボボディキットを組みたくなるのだが、
これにはそのような改造は施されていない。というか、ほとんどがオリジナル部品で残されている。

もちろん好みもあるだろうが、
NAバージョンには、それに見合ったシンプルなスタイルの方が美しいと思うし、
ターボバージョンには、その性能に見合った、押し出しの強いスタイルの方が自然だと思う。

そして安立氏が最も気に入ってみえるのが、この2.2リッター/4気筒のエンジンフィールだという。
さすがサーキットでぶん回されていただけあって、とんでもなく良く回るらしい。
&、燃費も優秀で、高速道路では1リッターあたり/10kmとのこと。

要は、ボディとエンジンさえしっかりしてれば、あとは楽しめる範囲内で、”なんとかなる”、とのこと。

そして何より、”大のメカ好き”の氏にかかれば、トラブルはご馳走であり、おかず、である。
頭の構造が「超・理数系」にもかかわらず、機械工作も得意ときているので、怖いもん無し、のようだ。

まあ、お世辞にもピカピカとは言えないし、
それなりのヤレた印象を受けるエスプリだが、なんというか、

ごく普通の中年のおじさんが、限られた時間と予算の範囲内で、
奥さんとお子さんの面倒も見ながら、誰に迷惑をかけるでもなく、
ご自身の技術/能力を存分に発揮し、トラブルに見舞われても慌てず騒がず、気負うことなく、
リラックスして、こういうクルマに接する事ができるのって、なんかカッコええやん、って思える。

そして店内に入り、鳴っているBGMの音を聞いてもらうと、

「不思議だねぇ」、と天井を見上げながら言った。

「本当ならこのスピーカーの配置だとさ、音はあまり下へ(客席の方へ)降りてこないんだけど、
うまいこと上のほうで混ざり合った音が下に降りてくるね。
この天井の高さと、屋根の傾斜角のバランスがマッチしたんだろうね。」

との評価。

で、僕が、「どっか直したほうがいい所あるかな?」、と聞くと、

「そうだな〜、ま、欲を言えばだけど、
スピーカー本体をもう少し壁から離したほうがいいかなあ?、
あとスピーカーの目の前にある柱、あれが気になるかな、ま、構造上、無くすわけにはいかないだろうから、
せめて柱に布でもなんでもいいから柔らかい材質のモノを巻くとか。
そうすることによって余分な音の反射が抑えられて、もう少しまとまると思うよ。」

「あと、(スピーカーの)下に何か敷いてる?」、と聞かれたので、

「ああ、ゴム製のインシュレーター(収音材)を噛ましてるけど。」、と答えると、

「うーん、この場合だったら10円玉を何枚か重ねて四隅に置いたほうがいいよ。
なんて言ったらいいかな、もう少し、音の輪郭がハッキリすると思うんだけど。
要は、下に敷くなら、やわらかい素材よりも、固い素材の方が、相性がいいんじゃないかな?」、とのこと。







すごく生意気な言い方で申し訳ないんだけど、
いつもそうなんだけど、本当に安立氏の意見と言うか、アドバイスというのは的を得てると思うんだよね。

それでいて、「それには外国製のOOがいい」、みたいな高額で、ブランド品を奨めるようなことは滅多に言わない。

基本的には身の回りにあるものを工夫して使うとか、
安くて性能の良い、日本製や中国製の部品を見つけてきて、
決してオーディオ専門誌の評価に惑わされること無く、自分の目と耳で確かめたモノを基準に考えてみえる。

だからといって、値段ばかり高くて大して性能の良くない機種や部品の悪口を言うわけでもない。
また、それらを崇拝する信者のようなユーザーを嫌うわけでもない。

なんていうか、全てにおいて、「中庸」、なんだよね。

結局、40分くらいの滞在だったかな?

昔からそうなんだけど、安立氏は長居しないんだよね。だいたい一時間もしないくらいで帰っちゃう。
多くの常連さんは2時間くらいはザラだし、僕もそれが普通だと思うんだけど、
ほんと、彗星みたいなんだよ。(笑)

この日も、「閉店時間過ぎたのに悪かったね」、と言い残し、
またスルスルとエスプリにに乗り込み、「ブロロ〜ン」、とエンジンをかけ、
パワーウィンドウを少し下げた車内から、「ほいじゃまた!」、と軽く手をあげ、走り出していった。

小柄な彼の運転するエスプリのフロントガラスからは、
顔だけがちょこんと出た状態で、例の如く、それはリラックスしきった表情で、
「フォオオオオオオオオオオ〜ン!」、と乾いたエキゾーストを奏でながら加速していった。


ユーノスを手放してわずか5日後、突如として現れたた赤い彗星。

なんだかよく分からないけど、今までのモヤモヤとした気分をズバっと断ち切られたような、
それでいて、”クルマ趣味の楽しさ/楽しみ方/付き合い方”、みたいなものを再確認させてくれたような、

そんな不思議な気分になりました。








カフェ・アドレナリン.店主/水野雄一




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