web Cafe Adrenaline vol.158
2010-12-13 (月) update
since 2000

使いきる・回しきる

イタリア・イギリス・日本の魅力的な使いきりタイプのクルマ大集合 の巻

久しぶりにご覧のような光景。(笑)

この光景、まず駐車場に出ると鼻腔をくすぐる独特な匂いにやられます。
そう、オイルとLLCの混ざり合った、甘くて切ないノスタルジーな香り。

この世に絶対などという言葉はなく、人の作ったモノに完璧などない、
それは命を預けるクルマとて例外ではなく、この甘くて切ないノスタルジーな香りは、
それを意識させる警告のような効果もある。

今みたいに工作精度が優れていなかった時代によくありがちな、
本来漏れてはいけない場所から、何かしら漏れているだけの話。
それを前向きに解釈し、ノスタルジーという付加価値に転化している。

単にこれは古くなったから漏れている訳じゃなく、
新車時から大体こんな感じだったらしい。
’50ー60年代の大らかさが伺える。

しかし不完全で危険な乗り物は楽しい。
普段使わない筋肉や神経を、嫌と言うほど使うので疲れるけど、
無事自宅に帰りついた時の達成感はあらためて”人生を楽しんでいる”、と言えるし、
”こんな馬鹿馬鹿しい事はとても人様に言えないけど”という自戒の念もある。

家庭用のフライパンよりも薄い鉄板で作られたボディの中で、
現行モデルの軽自動車より劣る動力性能を使いきって、回しきって走る。

まさにこのダイレクト感を伴う”やりくり感”は、
不完全な乗り物であるからこそ味わえる珍味。

必要最低限の生活は、人に我慢と工夫を与える。

「今から伺いますけど席空いていますか」、とのご連絡に少々焦りましたが、
なんとか”やりくり”できましたので安心しました。(苦笑)
このたびは大勢でのご来店有難うございました！

Cafe Adrenaline / 水野雄一