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web Cafe Adrenaline vol.145
2010-9-04 (土) update
since 2000

Sympathy
この場合の意味合いとしては同情ではなく、共感する、といった感じです   の巻






今回は、僕に代わりまして
このエスハチのオーナーA氏に語って頂きます。

深夜、高速道路を時速200キロで走行中、ヘッドガスケットが抜け、
そのまま横になり、コンクリートウォールに叩きつけられたとか、

そういった劇的な怪我自慢ではなく、
普通に旧車生活を送っていれば起こるであろう、
故障ネタを書いてもらいました。

夏の終わりに、
この素晴しき徒労感と、
わかる人にはわかるであろう
この妙な充実感を味わって頂けたら幸いです。





















1989年。
久々のオープンスポーツカーである
ユーノスロードスターが発売された頃にS800Mの購入を決めました。

当時、旧車に乗るのに避けて通れなかったのは一年車検。
登録後10年を超えたクルマは毎年車検を受ける必要がありました。
ところが逆輸入車だと新車扱いとなり三年車検を取得できました。
そんなわけでフランスから里帰りしたクルマを購入したのでした。

クルマを見に行った時にはナンバーは付いておらず試乗することはできませんでした。
初めてハンドルを握ったのは納車の日。

戸惑ったのはブレーキです。
S800Mのブレーキにはサーボが付いていません。
サーボ付きブレーキに慣れきった、というかそれしか知らない私にとって
S800Mのブレーキは踏んでも何も起きない、つまり全く止まれないシロモノでした。

ステア操作に違和感はありませんでした。
パワステなど付いていませんが、軽量なFRなので問題無しです。

これまでに遭遇したトラブルの中で一番きつかったのは国道での立ち往生です。

良く晴れた日、鈴鹿から国道1号を使って名古屋へ向かっていたときのことです。
片側三車線の真ん中の車線を周りの流れにのって走っていました。
赤信号で停車。青信号で発進、しようと思ったらエンジンが止まっていました。

エンストかと思ってキーを捻りましたが反応無し。
ジェスチャーで後ろのクルマへ動けないことを伝え、よけてもらいました。
土曜の昼間でしたが、幸いなことにクルマの流れが途切れたのでS800Mを路肩へ寄せました。

更に幸いなことに前方は下り坂でした。
割と長い坂道。これなら押しがけも楽勝です。
というわけで押しがけにチャレンジ。

が、何度やってもダメ。そのうち坂道が終わりました。
これまた幸いなことに坂道が終わった先の左側に少し広い路肩があったので
慣性で動いているS800Mををそこへ乗り入れました。
打つ手無しです。

こんなこともあろうかと加入していたJAFへ連絡を入れました。
またまた幸いなことに少し先に牛丼屋があったので遅めの昼飯を摂りつつ救援を待ちました。

颯爽と現れたJAFカー。
状況を説明すると「バッテリーかもしれませんね」と、テキパキとケーブルを繋げてくれました。
キーを捻ると懐かしいセルモーターの音と共に一発始動。
なあんだ、バッテリーだったのか。

が、何気なくブレーキを踏むとまたもやエンスト。
隊員さんの調査によると「充電されていない模様」でした。
ジェネレーターか??
これ以上は打つ手無しということで主治医の元へレッカー移動してもらうことになりました。
初レッカーです。

そんなわけで主治医の元へ運んだのでしたが、原因は「ヒューズ切れ」でした。
S800Mにはメインヒューズという独立したちょっと大きめのヒューズがあります。
この部品、ホンダで純正の新品を購入したので交換したのですが、
プラケースの中のヒューズの許容電流が仕様より遥かに低いものになっていました。
(何アンペアだったかは失念)
こいつが溶断したため、ジェネレーターからバッテリーへの経路が遮断されていました。

このようなインチキ部品でもホンダで購入できた頃はシアワセでした。
今ではかなりの部品が入手困難なようです。
その昔、部品の供給がストップした頃、ユーザーの声を聞いた宗一郎氏が

「ウチのお客さんを困らせるな」

みたいなことを言ってくれたことから
部品の供給が潤沢になったという話を聞いたことがあります。

私がS800Mを購入した頃、
ホンダは国産メーカーとしては例外的に部品供給のよいメーカーとの評判がありました。

メーカーにとって利益にならないことなので、
部品が供給されないのも仕方の無い話ですが、
そういうことも含めてホンダが好きだった者にとって、今の状況は寂しい限りです。

以上。











































それは、まるで小さな穴のあいた老船みたいなもので、
かき出しても、かき出しても、不安という名の水は容赦なく進入してくるし、
意を決して大金をつぎ込み直したところで、今度は別のところから進入してくるし、
また忘れた頃にしれっと同じ箇所がダメになったりする。

普通の人からすれば、
趣味性のつよい古いクルマが与えてくれる快楽と、
それを味わうために必要な時間と経費を計算すると馬鹿馬鹿しくてやってられない。

世の中にはもっとコストパフォーマンスに優れた心のよりどころはいくらでもある。

国が推奨するように、古いクルマなんかとおさらばすれば、
もう、このような腐れ縁と、果てることのない不毛な援助交際に終止符が打てる。

わかっている。

そんなことはわかっているし、
これまでに何度も何度も自問自答してきた。
持ち出しばかりが多くて、見返りが少ないと達観したこともあった。

たまに心のどこかで、誰に言っても納得してもらえるような
決定的で、寿退社みたいな故障を望んでる自分に辟易することもある。
そんなら今すぐ手放せばいいじゃん、ともう一人の自分が言う。

いい歳をしたオヤジが、たかが趣味クルマのことで
こんなにも心揺れるのはさすがに自分でも気色悪いと思う反面、
なにも揺れることのない人生よりはマシだと即座に弁護する。

恋愛と一緒で、すこしくらい持ち出しが多い方が
人として豊かな経験を手にすることができる。

最終的に腑に落ちるのはいつもそこだ。

やれやれ。






Cafe Adrenaline / 水野雄一








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