web Cafe Adrenaline vol.76
2008-11-04 (火) update
since 2000
Making of Postcard
version 2009
これは9月26日 (金)am8:00ごろの様子
なんとなくですが、数日前から、この日に2009年版のポストカードの撮影をしようと決めていたので、
朝から手際よく仕込みを行い、準備を整え、撮影用と言いつつ自分で飲むためのコーヒーを淹れ、
毎朝、儀式のように行なっている結構面倒くさいMcIntoshのオーディオの電源を順番通りにONにして、
この日に撮影するレコードをかけます。そして、しばらくは大音量で聴き入ります。
ご存知の通り、近所迷惑なんて全く気にしなくてもいい場所なので、そりゃもう本気の大音量です。(笑)
で、なんとなくイメージが湧いてきたら撮影を開始するのですが・・・
実を言うと、2009年版ポストカードのモチーフとなるレコードは、すでに今年の夏に決めていました。
タイトル名は伏せておきますが、(たぶん、またいつか使うと思いますので)
’60年代のボサノバ系で、思いっきり爽やかなイメージのレコードでしたが・・・
でしたが・・・ この雨。
なんか違うな〜、と思い、やっぱや〜めた!と思い、予定変更。
ひとまず、う〜む、雨、雨、雨に似合うレコードないかな〜とぶつぶつ言いながら棚を漁ります。
・・・で、ありました
これは1970年、チック・コリアが録音した”サーキュラス vol.1”
この盤は1978年に日本のキングレコードがプレスしたもの。
実はこのレコード、先日、僕が修行時代から良くしてもらっているS氏から頂いたもの。
もともとはS氏のお父さんがコレクションされていた物ですが、十数年前に他界され、
「家に置いてあっても誰も聴かないからよ、水野、聴く?」、との有難いオファーを頂き、
「頂きます」と即答し、「まあよ、たまに店で流してもらえりゃ〜親父も喜ぶでよ」、との話でまとまり、
大きなダンボール箱にして2つくらいのレコードやらCDを譲り受けました。感謝です。
つーか変な話、いつか僕も死ぬわけじゃん。
そりゃ生前に処分するなり、遺言書に書くなりすればいいんだろうけど、
それが出来ないままにお迎えがきたら、僕の場合、残された家族はマジ困ると思う。所有物多いから・・(笑)
偶然かもしれないけど、”サーキュラス”って、”円”という意味じゃん。
最近、お客さんが書き込んでくれたBBSの書き込みに、
「12周年おめでとうございます。干支が一周だよ」、ってのがあったんだけど、そうなんだよね、ぐるっと一周した感じ。
10周年は一区切りって感じだったけど、12周年は一回りって感じなのかな?
ってことは、2009年は2周目に入るってことか?・・・うーむ、だとしたら結構感慨深いですな。
なんとなく、引き寄せられるようにして手に取ったレコードがサーキュラスとはね・・・(笑)
で、思いつくままに、どんどんシャッターを切っていきます。
まあ、あと一日待って、晴れた日に、
あらかじめ用意しておいた”スカッと爽やか系”のレコードで撮影するという手もあったんだけど、
こういうのはノリが大事だと思うから、OK!雨なら雨っぽい雰囲気で撮ろう!って感じになりました。
あくまでポストカード用の撮影なので、店のロゴ、HPアドレスなど、
後から入れるものを想定して、そのための空間を作り、構図を決め、シャッターを切ります。
よって、変な話この状態で完璧!だなんて思えるような写真ではNGです。
テキトーに、ちょうど良い具合にスキというか、空間がないと後々困るんですわ。これが結構難しい。
で、ある程度、撮り終えたら、パソコンに取り込んで、
フォトショップを使って遊んでみます。ま、編集作業ってやつです。
これは自分が撮った画像を客観視するにはちょうどいい作業です。
コントラストの強弱や、色調をを変えてみたり、コラージュしてみたり。
キーひとつで、クリックひとつで、どんどん雰囲気が変わるから面白いよね。
しかし、ここでヘタにいじくると、せっかく撮った画像からふわ〜っと命が抜けていく感じがしますので要注意。
なので、たえず僕は、モニターの中の画像と対話しながら、いじくるようにしています。
「こんな感じでどーよ?」とか、「うーむ、ちょっとやり過ぎかな?」とか、「げ、やっぱし?マズったか!」とか、
心の中で言いながら、(たまには口に出してぶつぶつ言いながら)、一枚一枚仕上げていきます。
で、あーだこーだ言いながら、最終的に選んだのがこれ↓
しかし・・・
構図はOKだと思うけど、ちょっと明る過ぎるな〜と思ったので、もっと雨っぽい雰囲気を強調したのがコレ↓
全く同じ画像を、微妙に暗くしてみました。わかるかな?
で、こっからは前回もご紹介しましたロッカー寺西氏に、細かい仕様を書き込んで、
上の明るいバージョンと、暗いバージョンの2パターンを添付して、メールで送信します。
いよいよポストカードの版下を作る作業に入ります。
で数日後、↓こんな風に3パターンのデザインを用意してくれまして、
それぞれに、明るいバージョン(上の段)と、暗いバージョン(下の段)があるので合計6パターンになります。
A案/一番左側は、従来のアドレナリンのイメージやね。去年までの僕だったら迷わずこれに決めたと思う。
B案/真ん中は、最近のアドレナリンのイメージであるチェック柄を入れ、ロゴを斜めにしたもの。
まあ今までには無い、ポップで親しみやすい印象だよね。うちのかみさんはこれを選んでおりました。
C案/で、右側のやつは、A案ベースに、チェック柄を上下2段で入れたもの。
雰囲気としてはこれが今のアドレナリンを一番良く表していると思う。
ただポストカードとしては、ちょっとチェック柄が賑やか過ぎるかな?という感じがしたので、ロッカー寺西氏と相談。
・・・相談というのは僕の場合、最後の煮詰め作業と言ってもいいかも知れません。
大体の着地地点は決まったんだけど、どんなカタチで着地する?って感じかな。
いろんな方から、「マスターは拘ってるよなー」、みたいなお言葉を頂戴しますが、
おそらく客観的に見て、ここからあとの作業のことを言われてみえるのだろうと思います。
では、どうぞ↓(自分ではとくに拘っているつもりは無いのですが・・・/汗)
↑これがC案なんだけど、
とりあえず上の段のチェックを無くしてスッキリみえるようにしましょう、とお願いしつつ、
そして、下の段のチェックのサイズを70%くらい縮小してみましょう、という提案をします。(これとD案する)
↓んで、出来たD案がこちら〜ほんの少しだけチェックが小さくなりましたね。
うん、OK!これはこれで完成だと思う。
シンプルだし、今のアドレナリンがぎゅっと詰まっている感じがします。
しかし、もう一つ試してみたかった案があるんだよね。
それは、チェックそのもののサイズは大きいままでいいいから、
白チェックじゃなくて、半透明チェックにしたらどーかな?って案。これをE案とします。
(あー僕の頭の中ってホント面倒くさいよね/笑)
↓こちらがE案。
チェックを半透明にしてみました。
なぜ半透明にしたかと言うと、
まずパッと見て、目に飛び込んでくるのが「レコードジャケット」と、「コーヒーカップ&シュガーポット」だと思う。
これがこのポストカードの主役だと思うし、僕もそのつもりで撮りました。
で、おそらく視線は、「レコードジャケット」→「コーヒーカップ&シュガーポット」の順に移動すると思われます。
この時にチェックの白が目立ってしまうと、コーヒーカップの白がボヤケてしまい、動線のリズムが崩れてしまいます。
つまりこの場合、理想的な動線のリズムは、
「レコードジャケット」→「コーヒーカップ&シュガーポット」→「木の板が奥へ伸びていく感じ」→「店のロゴ」です。
右下から左上へ流れていく感じです。
D案では白チェックを縮小して試してみましたが、
いかんせんベタ白ではサイズに関係なく存在感があり、ちょっと動線が乱れるな〜と感じました。
なので今回はE案に決定!となりました。ふーやれやれ。
で、めでたく版下のデータは東京の印刷工場へ送られ、2週間後にはポストカードになって上がってきます。↓
1,000枚どーん。これで1年分。
毎日毎日いろんなお客さんが持って帰られまして、1年後には無くなります。ホント感謝です。
うれしそうに手にとって頂けるシーンを見るたびに、「あー頑張って作って良かったな〜」とつくづく思います。
・・・と、年に一度のポストカード作りの全容をご紹介しました。
今回、レコードを提供してくださったS氏に感謝、
そして事あるごとにお呼びだてし、僕のわがままを聞いてもらいつつ、
アドレナリンのデザイン部門をガッチリ支えていただいておりますロッカー寺西氏に感謝です!
このように、いろんな方のご協力がありまして毎年アドレナリンのポストカードは発行されています。
Cafe Adrenaline/水野雄一
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