web Cafe Adrenaline vol . 41
2006 7-07 update since 2000
蒸し暑いので手短に
1961年/NY録音の、「ナンシー・ウィルソン/キャノンボール・アダレイ」のレコードです。
今はある種の威圧感さえ感じる(失礼)、おばあちゃんシンガー、ナンシーですが、当時はまだ24歳。
いやー、歌うまいよね。
なんだろね、黒人特有のアクの強さも無いし、
東洋人には理解しがたい”情熱的な歌唱表現がもたらすエグさ”、も無い。
逆に、ビリー・ホリディの歌を聴いて、感極まって泣いちゃう人はいるかも知れないけど、
ことナンシーに限っては無いだろうな。
唄い方、明るいし、サラッとしてるし。でも暖かくて、色気もある。
僕が考えるに、このアルバムの雰囲気を最大限に堪能するなら、
ちょうど今の時期みたいな(梅雨の)、雨の夜、高速道路の料金所ゲートをくぐって、
本線に合流して、ふーっと一息ついて、法定速度でタランと流しながら、
ワイパーでフロントガラスを拭いながら、前を走るクルマのテールランプをぼんやり見ながら、
この1曲目、「Save your love for me」がスタートするようにセッティングしたい。
暗闇の中から突然ナンシーの歌声が浮かび上がってくる感じで幕開け、
バックで小さく、優しく、ささやくように、キャノンボールの弟/ナット・アダレイのコルネットが聴こえてくる。
やがて、お兄ちゃんのキャノンボールのアルトサックスが、それらを包み込むように、ほわーんと入ってくる。
まさに至福の時。
煙草を吸う人は、このタイミングで着火すべし。さぞや美味い一服になるだろうと思う。
(そうじゃない人は、缶コーヒーでも口に含みますか。)
基本的にはバラード構成だが、たまにアップテンポの曲もあるので夜のドライブには最高だろう。
カフェ・アドレナリン./水野雄一
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