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web Cafe Adrenaline vol. 24

2003-10-18 update since 2000


Cafe´ Adrenaline 御用達のパン



現在配布中の当店のポストカード(2003年12月末まで)にある、
Levain d'or (ルヴァン・ドォル)って何ですか?とご質問をよく頂く。

たしかに、ざっとルヴァン・ドォルの説明はされているものの、
当店との関係は一切書かれておらず、その辺について「?」に思われた方が多かったのだろう。
じつは、今年になって開業されたウチのカミさんの実兄/ご夫婦が営むパン工房のことで、
今回の移転を機に当店でも使わせてもらっている次第である。

名古屋時代は、泣く子も黙る!その圧倒的なシェアを誇る「本間パン」を使用していた。
たしかに品質・価格ともにパーフェクトな業務用パンであったし、今でもそう思う。
、がゆえに、有名無名に関わらず「多くの飲食店の御用達」という、
つまらない一面も持っていたのもこれまた事実。


私があえてケチをつけるとすれば、その一点である。

※当然、ご自分の店でパンを焼かれている立派なカフェのオーナーからしてみれば、
「いったい本間パンのどこがパーフェクト?」と異論をとなえる人もみえると思うが、
それはそれで、「トヨタのカルディナの走りが素晴らしくなった!」という意見に対し、
「いや、ロータス・エリーゼの方が断然素晴らしい!」と、すごい勢いで憤慨されても困る
のと同じ理屈で、最初から明らかに違うベクトルの話なので何卒ご理解いただきたい。


おそらく今みなさんが、口にされているパンのほとんどはイースト菌のパンで、
クルマに例えるならばオートマチック車だ。

多くのユーザーが使い易いよう、天然酵母の中から、特定の菌だけを採取し、
人工的な加工が施され、便利で、手軽な、夢のような菌である。
だから、あっという間に普及し、市民権を得た。

その点、天然酵母は、マニュアル車だ!しかもキャブ車だ!
たとえそれが同じ天然酵母の菌でも、ユーザーの使用環境によってその出来は大きく異なるケースが多く、
とうぜん温度・湿度によっても左右され、誰でも、何処でも、同じクオリティのものが得られるわけではない。
いわずものがな、初心者でいきなり上手く乗りこなすのは至難の業であり、99%事故ると思って間違いない。

そして余談だが、天然酵母の中に、さらに扱いにくい菌がある。
それは果実・穀物などを発酵/培養させた自然醗酵種というたぐいだ。

みなさんにも心当たりはないだろうか?冷蔵庫の中ですっかり忘れ去られ、
気付いてみたらブクブクと泡を発するオレンジジュースを・・・。
簡単に、乱暴に、言ってしまえばそれである。
興味のない方には、単に腐ったオレンジジュースだが、マニアにとっては(失礼、興味のある方には)、
これを使わぬ手はない!という珍重されし代物である。

クルマで言えば、2リッターの12気筒で下スカスカで、6段ノンシンクロのギアボックスで、スリックタイヤで雨レースに出るようなものだが・・・。

この手の菌(自然発酵種)を使ったパンは、主にヨーロッパで多く親しまれ、
いわゆる酸っぱいパンがこれである。
個人が家庭で、気ままに作るにはいいが、これを商売とし、消費者へ安定供給するにはリスクが多すぎるため、
大手パンメーカーもなかなか手が出せない領域である。

商売の原理に、
「タイム・イズ・マネー」という言葉があるが、
発酵時間がべらぼうに掛かる天然酵母のパンなど、
タイムオーバーで、ノーマネーな、ノーサンキューな商品である。


で、ルヴァンドォルはそこに目を付けたわけである。

利益を追求する企業であるならば一考の余地もない話だが、
ある程度、ゆとりをもって生活が送れる環境があり、パンが好きで、
なおかつチャレンジし甲斐のある人生をお探しなら、天然酵母のパン屋は理想的なライフスタイルといえよう。

パン作りの経験のない方にとっては、あまりピンとこない話かも知れないが、

最初、ただの水と、塩と、砂糖と、小麦粉と、菌が、ひとつのボールの中で混ぜ合わされ、
グルテン状のネトネトした物体に変わり、
やがて菌が砂糖を食べ(分解し)、そのとき大量の炭酸ガスを発生させ、
生地を膨らませる。

つまりパンは、ある程度仕込むと自ら成長し、
あとは、作り手が(母親のように)ちゃんと育っているかを見守り、
十分に熟成したところで、成型し、焼き上げる。

この一連の作業、けっこう、ヒューマンな世界なのだ。





しかし、この先の話は愛情だけでは全く通用しないビジネスの世界へと変わる。

趣味で作ったパンと、代金を頂くパン、の違い。

あなたは、どこで線引きするだろうか?

味?
カタチ?
バリエーション?
パッケージを含めた雰囲気?


私の考える、代金をいただけるパンの条件は、
そのパンに「夢」
があるかどうか?だけである。


見た目が良くて、美味しくて、いろいろ種類があって、すごい!
と、褒めてもらえるのはアマチュアだけで通用する話。

その勢いでパン屋を始めたって、すぐ行き詰まってしまう。

なぜならば、そのレベルのパン屋など、この世に掃いて捨てるほどあるからだ。
おまけに近所に、自分の店より安く、美味しい店ができたら、目も当てられない。
お客さんは当然そっちへなびくし、即、ジリ貧地獄の3丁目だ。
それは、商品力の弱さと、オリジナリティの欠如、の証明である。
そういったプロの負け組みは、アマチュアの個人売買よりミジメだ。

好むと好まざると、プロとして始めた以上、自動的に弱肉強食の世界に身を置いたことをよく認識すべし、で、
空腹を満たすだけのパンなら、学校の売店の焼きそばパンに任せておけばいい。


では夢のあるパンって何だ?

となると、じつに厄介なもんで明確な答えはない。

それは、作り手のみに与えられた特権であり、なんの規定もない。
そのかわり結果が全てなので、しっかり吟味しなくてはいけない
プロならではの超難問。




こうありたい!という願望こそが夢なのだから、
そのイメージを大切に育んでいる人なら、
「夢のあるパン」は焼けるだろう。

あとは、お客さんの判断を仰ぐしかない。

私がいつも心掛けている言葉。

お客さんの要求するものを、
お客さんの予期せぬカタチで。
(by.故・伊丹十三)


つくづくプロっぽい言葉だなあ、と思う。



さて、当店が「ルヴァン・ドォル」のパンを使い始めて、もうじき2ヶ月。

当初、天然酵母の食パンを、はたして安定供給できるのかな?という不安もあったが、
どっこい頑張ってみえるようで、今のところ100%納期を守ってくれている。

味、品質、ともに満足のいくレベルで、
元・本間パンユーザーという観点からしても、なんら遜色はなく、お客さんからも好評である。

しかし残念ながら、さすがに夢という部分まで手が回らないといった感じで、
この先大きな課題となるだろう。

身内なので、あまりシビアなことは言いづらいが、
いちおう私も、そのパンを介して、お客さんから代金を頂戴している立場なので、
無責任な対応は自分の首を締めることにもなりかねない。



フランス語で、「金の穂」という意味のルヴァン・ドォル。

本格的に生産をスタートして1年弱。
なんら大した広告も打たず、現在、当店を含め3店舗の飲食店に食パンを供給し、
飛び込みの営業で、JA(農協)の委託販売の許可を取り、
近所の奥様たちのクチコミも広がり、定期的に入るオーダーも難なくこなしている。

実際、未経験者がほんの短期間にここまでやれれば上出来だと思う。

あとは、さらなる販売ルートの拡大と、ぼんやり見えている夢の実現に向けて頑張ってもらいたい。














カフェ・アドレナリン.から通信販売としても購入して頂けます。

食パン1斤/420円(税込み) ※送料は400円くらいになると思います。

ご注文の際は、個数/お届け先ご住所/氏名/連絡先電話番号を明記して下記まで。
折り返し、振込先口座と、到着予定日をご連絡します。


小麦酵房・ルヴァンドォル/注文受付係




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