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web Cafe Adrenaline vol.17
奇妙な果実
蟠桃(ばんとう)という桃の話
この桃は出来損ないでもなく、CG合成でもない。正真正銘の由緒正しい桃である。
古来中国より珍重され、その濃厚な香りと、深い味わいは、貴族や皇帝たちにも愛されたという。 有名なところでは、書物「西遊記」の中で孫悟空がこの桃を食べ、不老不死になったとも記されている。 以降、この桃は「健康」、「長寿」、などといった縁起の良い桃として脚光を浴びるようになる。 しかし、しかしである。写真でもお分かりのように、この蟠桃(ばんとう)という桃、その奇妙なカタチゆえに、収穫時期まで完全な状態で成熟することは難しく、商品と呼べるものは全体の4割程度にすぎない。 フルーツのほとんどがそうであるように、球体に近ければ近いほど栽培は容易なのだが、この蟠桃(ばんとう)は、ミッキーマウスの耳のような立体的なハートマークをしている。 おまけに、これは桃の宿命と言うべきか、その芳醇な果実と果汁を被う表皮は「これでもか」というほど薄い。 よって、成長過程において、表皮が裂けやすく、果汁が流れ、そこからカビが生え、腐ったり、虫に食われたりして、収穫には至らないケースが多いのだ。 いくら美味しく、いくら高価で取引されても、生産者にとってこれだけリスキーだと、なかなか手を出す農家はいない。誰だって少しでも効率よく儲けたいのだ。
正式に日本に輸入されたのは戦後だと言われ、しばらく有名百貨店などにに並べられたらしいが、いかんせん、収穫後は更に劣化が早く(熟成と言うべきか?)、「なんだこの変な桃は!高いわりにすぐ腐るぞ!」、と最悪の評価のもと、あえなく市場から姿を消した。 手間の掛かる品種を、どれだけ苦労して育ても、お客さんに喜んでもらわねば何の意味もない。結果的に、蟠桃の木そのものまでが伐採される始末となる。まさしく絶滅寸前という危機に遭遇する。 ところが、偶然にも当店のお客さんが、某所にて蟠桃を密造、ではなく、栽培している農家を発見! その発見者A氏は根っからのモモラーであり、(桃が大好きという人の最上級の呼び名・うそ)、暇さえあれば全国を行脚しているらしく、その時の感動たるや、あーた、耳から血が出るほど嬉しかったとは、本人の弁。 当店には単なるオーディオマニアとして来店していたA氏だが、まさかそんな趣味まで持っていたとは驚きであった。(念のため、彼のオーディオ知識と、コレクションはプロ顔負けである。) そんなわけで、レアモノ大好き人間の私は、ちゃっかり幻の桃・「蟠桃」を1ケース密売してもらい(?)、そのとき偶然に居合わせたお客さんに1個300円で販売したところ、あっという間に完売した。 1ケースに入っていたのは、わずか18個。 その希少性がよく分かる。 後日、彼らに感想を聞くと、「味が濃いね、うまかったよ。でもさ、一番すごいなって思ったのは、翌日も、その次の日もクルマの中に蟠桃の香りが残っててさ、それがすごく気持ちよくてさ、また食べたくなるね!」と皆さん。 現在、日本に収穫可能な蟠桃の木は、たったの4本。 まれに高級フルーツ店に並んでいることもあるそうだが、なんと1個1000円は下らないという。 とにかく、これだけ好評だったのだから、来年も是非食べたいと思う。その時は事前に当ホームページにて注文を承るので、ビシバシ、オーダーをくれたまえ! それでは! |
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